栄養成分による代謝の違いを知る-脂質-

こんにちは！管理栄養士の高安です。三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝に関しての基本的なところをおさらいしていきましょう。栄養成分による代謝の違いを知る、今回は脂質についてです。

炭水化物、たんぱく質に関する記事はこちらをご確認ください。
炭水化物に関する記事栄養成分による代謝の違いを知る-炭水化物-
たんぱく質に関しる記事栄養成分による代謝の違いを知る-たんぱく質-

脂質とは？

脂質は主に中性脂肪（トリグリセリド）とコレステロールに分類され、エネルギー源となるだけでなく、細胞膜の成分やステロイドホルモンの成分など、様々な生体機能の維持に関与しています。脂質は1gあたり9kcalで炭水化物やたんぱく質の倍以上のエネルギーをもっています。

中性脂肪は体脂肪として体内に蓄えられ、コレステロールは肝臓や小腸で合成され、血液を介して体内を循環しています。脂肪というと悪者にされがちですが、極端に制限してしまうと、肌が乾燥したり免疫が低下してカゼをひきやすくなったりすることがあるので、注意が必要です。

脂質の消化と吸収

脂肪は体内に摂取されると十二指腸から分泌される胆汁により乳化され、膵臓から分泌されるリパーゼという消化酵素の働きで脂肪酸2つとグリセリンに1つの脂肪酸が結合したグリセロールの状態に分解されます。そのあと、リンパ管から吸収され血流にのり全身をめぐり最終的に肝臓で代謝されていきます。

脂質はたんぱく質や炭水化物よりも消化が遅く、吸収に時間がかかります。また、脂質は消化管の運動を抑制し、胃の中に滞留している時間が長くなるため、たんぱく質や炭水化物に比べ、消化吸収に時間がかかります。揚げ物を食べた後の胃もたれがその現象ですね。消化吸収に時間がかかるため、トレーニング直前やトレーニング中には揚げ物などの過度の脂肪摂取は控えた方がよいでしょう。

脂肪酸は酵素の作用により、アシルCoAに分解され、カルニチンの作用でミトコンドリアにとりこまれ、β酸化という過程で分解されます。そして、TCA回路に入り最終的にATPを生成します。カルニチンには脂肪燃焼効果があると言われているのはご存知ですか？脂肪燃焼系のサプリメントにはカルニチンが含まれていることが多いです。これは、先ほどご説明したように脂肪酸が分解されたアシルCoAをミトコンドリア内に取り込む際にカルニチンが重要な役割を果たしているからなのです。

脂質は悪者？脂質を選ぶ時は質に注目しよう

脂肪酸は保有しているC（炭素）と二重結合の数により、短鎖脂肪酸（飽和脂肪酸）、中鎖脂肪酸（一価脂肪酸）、長鎖脂肪酸（多価不飽和脂肪酸）に分類され、それぞれの働きや代謝経路が異なります。

脂肪酸の種類と効果、多く含まれる食べ物は以下の通りです。

肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸は過剰に摂取すると動脈硬化などの生活習慣病になる可能性があるため、注意が必要です。それに対して、魚に多く含まれている多価不飽和脂肪酸は体内で合成することのできない必須脂肪酸を含み、中性脂肪を低下させたり、血栓の予防に効果があると言われているため、意識的に摂取して頂きたい脂質です。

脂質が全て悪いのではなく、多価不飽和脂肪酸の様に、種類によっては有益な効果を得られるものもあります。単純に脂質＝悪者と考えるのではなく、成分に注目して食品を選択できる様になるとよいですね。

まとめ

脂質と聞くと全て悪者と考え、極力制限しようとする方もいらっしゃいますが、種類によっては有益な効果が期待できます。特に、脂肪酸の中でも魚油に多く含まれているDHA、EPAなどの長鎖脂肪酸は抗酸化作用や炎症抑制効果があるため、筋トレ等で筋肉細胞が破壊された場合の回復を促す上でも適している栄養素と言えるでしょう。油を摂取する際は質に注目してみてくださいね。ただし、あくまでも脂肪は脂肪なので、カラダに良いからといって摂りすぎは禁物。様々な食品を組み合わせることでバランスの良い食生活を心がけていきましょう！

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管理栄養士/フードアドバイザー　高安 ちえ　http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/