栄養成分による代謝の違いを知る-炭水化物-

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。みなさんは食事をするうえで最も気にすることはなんでしょうか?カロリー、バランス、美味しさなど色々とあるかと思います。特にダイエットをしている方はカロリーを一番に気にしているのではないでしょうか?確かに体重コントロールの基本は摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを意識し、摂取エネルギー<消費エネルギーの状態を作ることです。ですが、カロリーだけ気にしていればよいというわけではありません。食品によって主な栄養成分が異なり、栄養成分によって体内にとりこまれた後の代謝経路も異なります。カロリーだけに気をとられているとなかなかやせにくかったり、体重は減ったのに体脂肪は高いままだったりと様々な問題がでてくることがあります。これから数回にわけて栄養成分の違いによる代謝の仕組みについてお伝えしていきたいと思います。

炭水化物とは?

食品に含まれる炭水化物は糖質と食物繊維の合計をいいます。糖質は1gあたり4kcal、食物繊維は消化吸収されないためほとんどエネルギーにはなりません。

糖質と言っても種類は様々で、一番小さい単位(これ以上分解されない糖質)を単糖類と呼び、単糖類が2つ結合したものを二糖類、さらに複数結合したものを多糖類と呼びます。食べ物の状態では多糖類や二糖類として存在することが多く、体内で消化されることで単糖類まで分解されて吸収されていきます。単糖類にはグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)、ガラクトースなどがあり、それぞれ構造が異なっているため、体内での代謝経路が異なりカラダに与える影響に違いがあります。

それぞれの糖質を多く含む食品をまとめました。

単糖類多く含む食品
グルコース(ブドウ糖)ご飯、パン、うどん、豆類(大豆をのぞく)、いも類
フルクトース(果糖)果物類、菓子類
ガラクトース牛乳、乳製品

ここで特に注目したいのはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)です。この2つの単糖類の大きな違いは、インスリンという消化吸収には欠かせないホルモンが分泌されるかどうかにあります。グルコース(ブドウ糖)を摂取した時にはインスリンは分泌されますが、フルクトース(果糖)を摂取した時はほとんどインスリンは分泌されません。グルコース(ブドウ糖)は全身のエネルギー源として効率良く利用されますが、フルクトース(果糖)はカラダのエネルギーが充足している場合は、グルコース(ブドウ糖)に比べて体脂肪になりやすいという特徴があります。

インスリンが出る=太るではない

インスリンが出るから糖質が吸収されやすくなり、太りやすくなる。と思っている方が多いかものしれませんが、これは誤解です。インスリンはホルモンの一種で食事によって上昇した血糖値を低下させる効果があります。確かに、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されれば細胞への糖質の取り込みは促進され、エネルギーとして利用しきれなかった糖質は体脂肪としてたくわえられますが、体脂肪になりやすいのは余分に糖質などのエネルギーを摂取した場合のみです。活動において必要とされるエネルギーを適切に摂取していればインスリンが分泌されたからといって太りやすくなるということはありません。むしろ、正常にインスリンが分泌されないといつまでも血糖値が高い状態が続きます。これが糖尿病の症状です。

インスリンは筋肉への栄養素の取り込みを促進する効果もあります。筋肉を増やすために摂取したプロテインやアミノ酸をしっかりと筋肉に取り込んでいくためにもインスリンは欠かせない物質なのです。

グリコーゲンとは?

グリコーゲンは多糖類の一種で体内のエネルギー貯蔵物質です。私たちが食事で摂取したエネルギーは、肝臓と筋肉にグリコーゲンという形で蓄えられます。食事によって肝グリコーゲンと筋グリコーゲン(筋肉)が補給されると、次にエネルギーが入って来るまでの間、肝グリコーゲンを少しずつ分解しながら生命活動を維持しています。肝グリコーゲンの枯渇を防ぐために肝グリコーゲンが一定量を下回ると、筋肉が分解されてアミノ酸が血液中に放出され、肝臓で血糖に変換され利用されたり、体脂肪が分解されエネルギー源として利用されていきます。筋肉量を増やしたい場合は、適正なタイミングでエネルギーを補給し、筋肉が分解され活動のためのエネルギーとして利用されるのを防ぐことが重要です。

まとめ

炭水化物や糖質と聞くと悪者のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くもってそんなことはありません。悪いのは炭水化物や糖質ではなく、それらを食べすぎることです。ご自身の体格や活動量に応じて適正なエネルギー摂取を行なっていくようにしましょう!

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/