こんにちは!管理栄養士の高安です。いまさら聞けないシリーズ第3弾は「炭水化物」のお話です。最近なにかと話題の炭水化物。みなさんは正しく理解していますか??
「炭水化物抜き」は正しい?間違ってる?
そもそも「炭水化物」と「糖質」の違いはご存知でしょうか?最近流行りの「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限」。同じような言葉なので深く考えずに使われている方も多いかもしれませんが、実は「炭水化物」と「糖質」は厳密に言うと違うものなのです。
「炭水化物」とは「糖質」と「食物繊維」で構成されています。「糖質」はエネルギーになり、「食物繊維」は消化吸収されないためエネルギーにはなりません。
食物繊維は腸の調子を整えてくれたり、余分な脂質や糖質の吸収を妨げる働きがあり、ダイエットや生活習慣予防にとても効果的として注目されている成分の1つです。食物繊維というより、最近では「難消化性デキストリン」と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。「難消化性デキストリン」は脂質と糖質の吸収を妨げるとして、飲み物によく含まれている成分です。最初の質問に戻りますが、「炭水化物」を制限してしまうとこの「食物繊維」まで制限することになるため、「炭水化物抜きダイエット」はダイエットに有効とされている「食物繊維」までも制限していることになり、正しい呼び方ではない。ということになりますね。
「糖質」とは?
「糖質」と一口に言っても種類は様々で、一番小さい単位(これ以上分解されない糖質)を「単糖類」と呼び、単糖類が2つ結合したものを「二糖類」、さらに複数結合したものを「多糖類」と呼びます。食べ物の状態では「多糖類」や「二糖類」として存在することが多く、体内で消化されることで「単糖類」まで分解されて吸収されていきます。
「単糖類」にはグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)、ガラクトースなどがあり、それぞれ構造が異なっているため、体内での代謝経路が異なりカラダに与える影響に違いがあります。
それぞれの糖質を多く含む食品をまとめました。
単糖類 | 多く含む食品 |
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グルコース(ブドウ糖) | ご飯、パン、うどん、豆類(大豆をのぞく)、いも類 |
フルクトース(果糖) | 果物類、菓子類 |
ガラクトース | 牛乳、乳製品 |
ここで特に注目したいのは「グルコース(ブドウ糖)」と「フルクトース(果糖)」です。この2つの単糖類の大きな違いは、「インスリン」という消化吸収には欠かせないホルモンが分泌されるかどうかにあります。「グルコース(ブドウ糖)」を摂取した時にはインスリンは分泌されますが、「フルクトース(果糖)」を摂取した時はほとんどインスリンは分泌されません。「グルコース(ブドウ糖)」は全身のエネルギー源として効率良く利用されますが、「フルクトース(果糖)」はカラダのエネルギーが充足している場合は、「グルコース(ブドウ糖)」に比べて体脂肪になりやすいという特徴があります。
「インスリン」と「プロテイン」の関係
インスリンはすい臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンです。インスリンは食べ物から摂取した三大栄養素を体内の必要な場所に取り込む働きがあるため、カラダづくりには欠かせないホルモンと言えます。
つまり、カラダを大きくする為に摂取したプロテインを効率良く筋肉に取り込んでいくためには、「体内でインスリンを分泌させる」ことが必要不可欠なのです。
先ほども触れた様に、この「インスリン」はご飯などのグルコース(ブドウ糖)を多く含む食品を摂取した時に多く分泌されます。最も効率良くたんぱく質を筋肉に取り込んでいく為に有効な食事は、プロテイン単体でも、プロテインとフルーツでもなく、「プロテインとおにぎり(グルコースを多く含む食品)」という事になります。
また、空腹時にプロテインだけを摂取すると、カラダが不足しているエネルギーを補う事にプロテインが使われてしまうため、「カラダづくり」という観点からはあまり効率がよくありません。不足しているエネルギーを糖質で補いつつ、しっかりとインスリンを分泌させ、同時に摂取したプロテインをしっかりと筋肉に吸収させることが出来る「プロテインとおにぎり(グルコースを多く含む食品)」がゴールデンコンビなのです。
やみくもにプロテインだけを摂取するのではなく、摂取する時のカラダの状態もよく把握して様々な食品を組み合わせながら取り入れていくことをオススメします。
最近なにかと悪者にされがちな「糖質」ですが、あくまでも「糖質」が悪いのではなく「糖質の過剰摂取」が悪いのです。糖質はカラダづくりにとってはなくてはならない栄養素ということを忘れずに、日々のトレーニングに励んでいってくださいね。
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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/