朝食のバランスを良くするためにはどうしたらよい?

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。皆さん、普段から朝食はしっかりと食べていますか?1日の活動のスイッチを入れるためにもとても重要な朝食。朝食をおろそかにすると、1日に必要なエネルギーやたんぱく質を十分に摂取することが難しくなります。時間がない忙しい朝でもなるべくバランスの良い食事を心がけたいですよね。今回は、いつもの朝食を少し工夫するだけで簡単に栄養バランスを整えることができる方法をご紹介したいと思います。

食事のバランスとは?

バランスが良い食事という言葉はよく耳にすると思いますが、いったいどういう食事がバランスが整った食事なのでしょうか?食事のバランスをみるうえで大切なのが「PFCバランス」です。「PFCバランス」とはとは総エネルギー摂取量に対する「たんぱく質(P)」「脂質(F)」「炭水化物(C)」由来のエネルギー摂取量の構成比のことを言います。(詳しくはこちらhttps://limitest.jp/meal/2019_0109_pfc_balance/

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」に掲載されている理想的なPFCバランスは以下の通りです。

 総エネルギーに占める割合1gあたりのカロリー
たんぱく質(P)13〜20%4kcal
脂質(F)20〜30%9kcal
炭水化物(C)50〜65%4kcal

参考:日本人の食事摂取基準(2020年度版)

現代の食事は全体のエネルギー摂取量に対する脂質エネルギーの比率が高く、欧米化していると言われています。全体のエネルギーに占める脂質の割合が高くなることで血中の中性脂肪やコレステロールが増加し、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の要因となることがあります。生活習慣病を予防するためにも、「PFCバランス」を意識して食事のバランスを整えていきましょう。

いつもの食事のPFCバランスをみてみよう

いくつか具体的な朝食の例を見ながらPFCバランスがどうなっているか確認してみましょう。それぞれの食事の問題点とPFCバランスを良くするためのワンポイントアドバイスもご紹介いたしますので参考にしてみてくださいね。

成人女性が1日に必要なエネルギーは2,000kcal前後、1食あたりの食事で必要な栄養素は以下の通りです。

1食660kcalあたりの必要量総エネルギーに占める割合1gあたりのカロリー
たんぱく質(P)21.5〜33.0g13〜20%4kcal
脂質(F)14.7〜22.0g20〜30%9kcal
炭水化物(C)82.5〜107.3g50〜65%4kcal

Case1:フルーツグラノーラ+普通牛乳200cc、バナナ1本、オレンジジュース200cc 合計523kcal

 Case1の食事では脂質、炭水化物の必要量が充足しているのに対して、たんぱく質摂取量は10g程度不足しています。

Case2:メロンパン、アイスコーヒー 合計424kcal

Case2の食事ではまずエネルギー摂取が不足していますね。特にたんぱく質は1食あたりの必要量の半分以下ですので、選択する食品の改善が必要です。

Case3:おにぎり2個(鮭、梅)、野菜ジュース200cc 合計400kcal

Case3の食事では極端に炭水化物の摂取に偏っているのがわかります。摂取エネルギーを増やすのと同時にたんぱく質と脂質の摂取も増やす必要があります。

朝食で不足しがちなたんぱく質を手軽に補う方法

簡単なものですませがちな朝食では摂取エネルギーの不足と同時にたんぱく質の摂取量が不足しがちです。たんぱく質はエネルギー源となるだけでなく、筋肉や内臓、皮膚や髪の毛などからだをつくるのに欠かせない栄養素です。たんぱく質の摂取も意識して食事が選択できるようになるとよいですね。たんぱく質を多く含む食品は以下の通りです。

 たんぱく質(g)脂質(g)
鶏もも肉(皮付き)100g17.3g19.1g
豚肩ロース脂身つき100g17.1g19.2g
牛肩ロース脂身つき100g16.2g26.4g
鮭100g19.6g12.8g
鶏卵1個7.4g6.2g
納豆1パック・50g8.3g5.0g
豆腐1/4丁・75g5.0g3.2g
無調整豆乳200cc7.2g4.0g
牛乳200cc6.6g7.6g
ヨーグルト200g3.6g3.0g

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

朝から肉や魚を摂取することが難しい場合は、卵や納豆、牛乳やヨーグルトなどの乳製品をとりいれてみてはいかがでしょうか?それすらも難しい場合は、プロテインを朝食にプラスしてみるのも一つの方法です。先ほどご紹介した3つの食事にプロテインやその他の食品をプラスしてPFCバランスを整える方法をご紹介します。

Case1:フルーツグラノーラ+低脂肪牛乳200cc、ロールパン1個、バナナ1本、プロテインスプーン1杯 合計580kcal

脂質摂取量が過剰にならないようにフルーツグラノーラに使う牛乳を普通牛乳から低脂肪牛乳に変更しました。不足していたたんぱく質摂取量もプロテインをスプーン1杯追加することで充足しましたね。こんなに食べて大丈夫?と思うかもしれませんが、朝食は1日を活動的に過ごすためにとても重要な役割を果たしています。摂取エネルギーとPFCバランスの両方を意識してしっかりと食事を摂取するようにしましょう。

Case2:メロンパン、アイスコーヒー、プロテインスプーン1杯+低脂肪牛乳100ml 合計539kcal

全体的に少し摂取カロリーは少ないですが、プロテインスプーン1杯を低脂肪牛乳に溶かして飲むことでPFCバランスは整いました。菓子パンは脂質含有量が高く、脂質エネルギー摂取過剰になってしまうことがあるので、牛乳やヨーグルトなどをプラスするときは低脂肪のものを選ぶのがおすすめです。

Case3:おにぎり2個(鮭、梅)、プロテインスプーン1杯、アーモンド15粒 合計578kcal

たんぱく質が不足していたので、野菜ジュースの代わりにプロテインをスプーン1杯、脂質が不足していたのでアーモンドを15粒ほどプラスしてみました。脂質摂取量を極端に制限しようとする方がいますが、最低限の摂取は必要です。脂質摂取量が不足しているときはナッツ類などに多く含まれていて、抗酸化作用が注目されている不飽和脂肪酸の摂取を意識するとよいでしょう。

まとめ

簡単なもので食事を済ませてしまうと、たんぱく質の摂取量が不足しがちです。そんな時に手軽に食事のバランスを整えることができるのがプロテインです。プロテインと聞くと筋肉が増えそう。太りそう。というイメージを持つかたもいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。プロテインはたんぱく質を豊富に含む食品の一つですので、過剰に摂取しなければ極端に筋肉がついたり太ったりすることはありません。上手にプロテインを食事に組み込んでいくことで食事の栄養バランスを整えていってくださいね。

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/