1日に「プロテイン」はどのくらい飲めばよい?〜ジュニアアスリート編〜

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。前回「1日に「プロテイン」はどのくらい飲めばよい?」という記事で具体的な食事例をだしながら1日に摂取する「プロテイン」量についてお話させていただきました。その日の食事内容によって摂取する「プロテイン」の量を調整するということがポイントでしたね(詳しくはこちらhttps://limitest.jp/meal/amount-of-protein-to-drink/)。今まで「成人男性」「成人女性」の食事例と「プロテイン」必要量をご紹介してきました。今回は「ジュニアアスリート」についてみていきたいと思います。

「ジュニア期」に必要な栄養はどのくらい?

小・中学生の時期は思春期以降に見られる「第二次成長期」と重なります。「第二次成長期」の始まる時期には個人差がありますが、一般的に女性の方が早く8歳〜10歳頃に、男性は9歳〜12歳頃に始まります。女子は初潮を迎えたり、男子は声変わりが始まったりと目に見えてカラダが変化してくるのもこの時期です。この時期の栄養補給で最も大切なことは「成長」に必要なエネルギーを十分に摂取するということです。

部活動やクラブ活動などで運動によるエネルギー消費がある場合は1日に必要なエネルギーだけでなく、運動による消費するエネルギーも同時に補給していく必要があります。必要なエネルギー量に対して補給がうまく行かない場合、怪我などにも繋がる恐れがありますので注意が必要です。

「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」に設定されている「エネルギー」「たんぱく質」必要量は以下の通りです。

エネルギーの食事摂取基準
身体活動レベル3
  
男性女性
8~9歳2,100kcal1,900kcal
10~11歳2,500kcal2,350kcal
12~14歳2,900kcal2,700kcal
たんぱく質の食事摂取基準(推奨量)   
男性女性目標量
(%エネルギー)
8~9歳40g40g13〜20
10~11歳45g50g13〜20
12~14歳60g55g13〜20
たんぱく質の食事摂取基準(目標量)
身体活動レベル3
  
男性女性
8~9歳67〜103g62〜95g
10~11歳80〜123g76〜118g
12~14歳94〜145g86〜133g

参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)

「エネルギー」摂取量は「身体活動レベル3」の数値を参考にしています。「たんぱく質」摂取量は「推奨量」と「身体活動レベル3」の場合の「目標量」の両方を記載しました。「推奨量」と「目標量」の間に大きな差があるのがわかりますね。「たんぱく質」摂取量に関しては「推奨量」で定められている「たんぱく質」摂取量を最低限確保し、状況をみながら「目標量」まで近づけていくという考え方で良いかと思います。ジュニアアスリートには個人の成長スピートや活動量にあわせた柔軟な食事管理が重要になります。

具体例から見る1日に必要な「プロテイン」摂取量

いくつかの食事例をみながら食事での1日の「たんぱく質」摂取量と1日の摂取目標量に対する不足分をみていきましょう。今回は10歳男子の場合です。「たんぱく質」摂取量は極力「目標量」の下限値まで近づけることを目標としたいと思います。不足している「たんぱく質」を補うための「プロテイン」は「スプーン1杯あたりたんぱく質約8g」で計算しています。スプーン1杯あたりの「たんぱく質」含有量は商品によって異なります。

食事例1:寝坊して朝ごはんを食べなかった時

  エネルギー量たんぱく質量
朝食なし0kcal0g
昼食麦ごはん、肉じゃが、もやしの辛子醤油和え、大豆とじゃこの炒り煮、牛乳768kcal26.3g
間食メロンパン1個486kcal10.0g
夕食ご飯、味噌汁、焼き魚、サラダ、冷奴408kcal24.7g
合計1662kcal61.0g

朝食を抜いたせいで1日の摂取エネルギーがかなり不足していますね。何度もお伝えしていますが、1日に必要な栄養量を摂取するためには最低限3食しっかりと摂取する必要があります。1日に必要な栄養量も消費するエネルギー量も多いジュニアアスリートにとって食事を抜くということはご法度と言っても過言ではありません。「牛乳コップ1杯」「バナナ1本」だけでも良いので朝何かしら摂取できると良いでしょう。それでも時間がない時には手軽に摂取できる「エネルギーゼリー」なども活用してみてください。

必要なエネルギー量を確保するために「おにぎり」や「果物」などの補食を取り入れると同時に「プロテイン」は「スプーン2〜3杯」程度摂取するとよいでしょう。水ではなく、牛乳に溶かして飲むとさらに「エネルギー」「たんぱく質」摂取量が増えるのでおすすめですよ。

食事例2:3食しっかり食べた時

  エネルギー量たんぱく質量
朝食おにぎり2個(梅、鮭)、牛乳コップ1杯495kcal18.6g
昼食ご飯(大盛り)、カレー、コールスローサラダ、牛乳869kcal25.0g
補食フレンチトースト371kcal11.0g
夕食ごはん、味噌汁、ハンバーグ、ポテトサラダ691kcal30.8g
合計2426kcal85.4g

3食しっかりと食べ、補食も摂取している場合です。「3食+補食を」食べているので必要なエネルギー量は確保できていますね。「たんぱく質」摂取量も「目標量」の下限値と大きな差がありませんので、この場合は無理に「プロテイン」を摂取する必要はないでしょう。

食事例3:1日中試合でしっかりと食事をする時間がなかった時

  エネルギー量たんぱく質量
朝食おにぎり2個(梅、鮭)、牛乳コップ1杯495kcal18.6g
昼食おにぎり2個(梅、鮭)、エネルギーゼリー1本、野菜ジュース1本586kcal13.2g
補食肉まん、炭酸飲料378kcal10.1g
夕食ごはん、すき焼き585kcal25.1g
合計2275kcal71.2g

1日ずっと試合でゆっくりと食事をする時間がなかった場合です。試合が終わった後にコンビニで補食を購入して食べていますが、必要なエネルギーとたんぱく質が不足してしまっています。1日に必要な「たんぱく質」の補給と試合で使った筋肉の修復の意味でも試合後に「プロテイン」を「スプーン1杯」程度摂取するとよいでしょう。

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

それぞれの食事例での「たんぱく質」充足状況まとめ

食事例1〜3までの「たんぱく質」充足状況と不足を補うための「プロテイン」摂取量の目安をまとめました。

 食事からの
「たんぱく質」摂取量
「たんぱく質」目標量
(エネルギーの13%)
「たんぱく質」不足量摂取するプロテインの量
(スプーン1杯たんぱく質約8g)
食事例161.0g80g19.0gスプーン2〜3杯
食事例285.4g80g-不要
食事例371.2g80g8.8gスプーン1杯

それぞれの食事例の「たんぱく質」含有量は一般的な分量を「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」のデータをもとに栄養価計算した数値を記載していますので、参考値としてご活用ください。

まとめ

「ジュニア期」は急激に身長が伸びたり、体重が増えたりと身体的な変化が現れる時期です。成長の必要なエネルギーと運動で消費するエネルギーを日々の食事から補っていくのはなかなか大変ですよね。まずは「3食+補食」をしっかりと摂取することが大切。それでも、食が細く思うように食事がとれないなどの悩みがある場合、「プロテイン」などの栄養補助食品を上手に活用していくことも一つの方法です。「プロテイン」などの栄養補助食品はやみくもに摂取するのではなくその日の食事摂取状況や摂食量に応じて取り入れて行くようにしましょう!

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/