「油」は必要?必要じゃない?中鎖脂肪酸の効果的な使い方

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。みなさん、「油」に対してどのようなイメージを持っていますか?完全に「悪」と捉えて食事から完全に削除してはいませんか?確かに「余分」な油分は体脂肪増加の要因になったり血中脂質が増加する原因になります。ですが、食事から完全に「脂肪」を摂取することで起こる弊害もあることを忘れないでください。

今回は「油」について詳しく説明しながら、最近話題の「中鎖脂肪酸」がどういうものなのかもご紹介たいと思います。

そもそも「油」とは?

「油」について少し復習してみましょう。私たちが摂取する「脂肪」の大部分は「グリセリン」に3つの「脂肪酸」がついた「トリアシルグリセロール」状態で存在しています。「グリセリン」についている「脂肪酸」の炭素の数や炭素どうしのつながり方の違いにより様々な種類があります。大きくは「炭素どうしのつながり方」の違いにより「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。脂質に関する過去の記事はこちら(https://limitest.jp/meal/not-hear-fat/

そして、「炭素の数」の違いにより「短鎖脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「長鎖脂肪酸」の3つに分類されます。「炭素の数」の違いによる「脂肪酸」の特徴は下記の通りです。

脂肪酸の種類効果多く含まれる食べ物
短鎖脂肪酸過剰摂取すると動脈硬化の原因になる動物性食品に多く含まれる
中鎖脂肪酸長鎖脂肪酸に比べてエネルギー効率が良いココナッツオイルなど植物性食品に多く含まれる
長鎖脂肪酸LDLコレステロール低下作用、血栓生成抑制作用リノール酸、リノレン酸は植物油、その他は魚に多く含まれる

それぞれ含まれている食べ物も異なり、消化吸収の速度も異なります。

「脂肪」の消化吸収

「脂肪」は体内に摂取されると十二指腸から分泌される胆汁により乳化され、膵臓から分泌される「リパーゼ」という消化酵素の働きで「脂肪酸」2つと「グリセリン」に1つの「脂肪酸」が結合した「グリセロール」の状態に分解されます。そのあと、リンパ管から吸収され血流にのり全身をめぐり最終的に肝臓で代謝されていきます。この一連の流れが基本的な「脂肪」の消化吸収になります。基本的にとお伝えしたのには理由があり、先ほどご紹介した「炭素の数」の違いにより消化・吸収の経路は若干異なっています。

「短鎖脂肪酸」と「長鎖脂肪酸」は上記の流れをたどるのに対し、「中鎖脂肪酸」は直接肝臓に入り代謝されていきます。そのため、「中鎖脂肪酸」はエネルギー効率が良いと言われています。

「中鎖脂肪酸」の効果的な使い方

先ほどもお伝えした通り、脂肪酸の中でも「中鎖脂肪酸」は消化吸収されたあと直接肝臓に入り代謝されていくため、「短鎖脂肪酸」や「長鎖脂肪酸」に比べてエネルギー効率が良いとされています。医療の現場でも液体状の「MCTオイル」や粉末状の「MCTパウダー」などとして食事から十分なエネルギーが摂取できない方々に使用されてきました。確かにエネルギー効率は良くエネルギー摂取が難しい方には最適な「脂質」なのですが、体内に必要とされているエネルギーが充足している場合はエネルギーとして蓄積されずそのまま肝臓にたまる状態。つまり、「脂肪肝」の原因となることもあるので注意が必要です。普段の食事で使用している「油」を「中鎖脂肪酸」へ変更するということは良いと思いますが、エネルギー効率が良いからと言って手当たり次第に「中鎖脂肪酸」を食事に取り入れるのはおすすめできません。

効果的な「中鎖脂肪酸」の使い方についてまとめました。

増量期や成長期にどうしても食事量が増やせない時

あくまでの食事量を限界まで調整した上でどうしてもこれ以上は限界という場合は「中鎖脂肪酸」を食事に組み込んでみると良いでしょう。サラダや和え物などの調味料として「小さじ1」程度追加してみてください。

持久系の運動をする時の補給食として

持久系の運動をする時はいかに体内のエネルギー源を切らさずに動き続けるかが重要になります。以前ご紹介した「グリコーゲンローディング」も体内にエネルギーを蓄える方法の一つですが、体内のグリコーゲンだけでは限界になることもあります。その時に補給食として「中鎖脂肪酸」が含まれるゼリータイプの補給食を取り入れると「中鎖脂肪酸」特有のエネルギー効率の良さで持久力が継続しやすくなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?カラダに良いからと言って全ての方が必要としているとは限らないのが「栄養」です。「中鎖脂肪酸」も「油」ですので、必要以上に摂取すれば「肥満」や「脂肪肝」の原因になります。テレビや雑誌、インターネットで良いという情報を仕入れたからと言ってやみくもに取り入れるのではなく、まずはご自身にとって必要なものかどうか正しく判断して使用するかしないかを決定する様にしてくださいね。

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/