こんにちは!管理栄養士の高安です。前回「ビタミン」の役割と1日の必要量とは?ということで主に「脂溶性ビタミン」についてご説明させて頂きました。(詳しくはこちらhttps://limitest.jp/meal/vitamins-and-roles/ )今回は「水溶性ビタミン」について詳しくご説明させて頂きたいと思います。カラダの調子を整えるのに重要な「ビタミン」。それぞれの役割をしっかりと理解し、日頃から摂取不足にならないようにしていきましょう。
「水溶性ビタミン」の種類はいくつある?
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で1日の摂取量が定められてい「ビタミン」は13種類です。そのうち「水溶性ビタミン」は「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ナイアシン」「ビタミンB6」「ビタミンB12」「葉酸」「パントテン酸」「ビオチン」「ビタミンC」の9種類です。それぞれの役割と欠乏症の症状は以下の通りです。
「ビタミンB1」
「ビタミンB1」は別名「チアミン」と呼ばれています。「糖質」や「脂肪酸」の代謝に関係しています。「ビタミンB1」の摂取が不足すると「脚気」の症状が出ることがあります。白米や精製された炭水化物の摂取が過剰になると「ビタミンB1」の必要量が増すため「ビタミンB1」が不足しやすくなります。
「ビタミンB2」
「ビタミンB2」は別名「リボフラビン」と呼ばれています。「ビタミンB2」は三大栄養素の代謝や体全体の健康維持に必要不可欠な「ビタミン」です。「ビタミンB2」の摂取が不足すると「口内炎」や「皮膚炎」などの症状が出ることがあります。
「ナイアシン」
「ナイアシン」は別名「ビタミンB3」と呼ばれています。糖質、脂質の代謝で重要な役割を果たすと同時に「補酵素」としての役割もあります。不足すると「皮膚炎」などの症状が出ることがあります。
「ビタミンB6」
「ビタミンB6」は「たんぱく質」の代謝と関係の深い「ビタミン」です。「たんぱく質」摂取量が多くなった時には「ビタミンB6」の摂取も忘れないようにしましょう。
「ビタミンB12」
「ビタミンB12」は全ての細胞の代謝に関与しており、DNAや脂肪酸の合成、赤血球のヘモグロビン賛成に関与しています。不足すると造血がうまくいかず、赤血球が減少したり巨大な赤血球ができたりする「悪性貧血」の症状が出ることがあります。
「葉酸」
「葉酸」はアミノ酸や核酸の代謝に関与しています。妊娠中には必要不可欠な「ビタミン」です。不足すると「ビタミンB12」同様、「悪性貧血」の症状が出ることがあります。
「パントテン酸」
「パントテン酸」は「コエンザイムA」の構成成分として脂質代謝で重要な役割を果たしています。それだけでなく、糖代謝やたんぱく質代謝にも関与しています。不足すると「皮膚炎」「成長抑制」などの症状が出ることがあります。
「ビオチン」
「ビオチン」は脂肪酸の合成に関与しています。通常、腸内細菌によって合成されるため不足することはまれです。
「ビタミンC」
「ビタミンC」は別名「アスコルビン酸」と呼ばれています。「ビタミンC」は「コラーゲン」の合成に関与しています。「ビタミンC」には抗酸化作用があります。ストレスがかかると「ビタミンC」の消費量が増加すると言われています。
1日に必要な「ビタミン」はどのくらい?
先ほども少しご紹介しましたが、私たちが1日に摂取するべき栄養素量は厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に記載されています。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定められている「水溶性ビタミン」の必要量は以下の通りです。
男性の食事摂取基準
ビタミンB1(推奨量) | ビタミンB2(推奨量) | ナイアシン(推奨量) | ビタミンB6(推奨量) | ビタミンB12(推奨量) | 葉酸(推奨量) | パントテン酸(目安量) | ビオチン(目安量) | ビタミンC(推奨量) | |
18〜29歳 | 1.4mg | 1.6mg | 15mg | 1.4mg | 2.4mg | 240μg | 5mg | 50μg | 100mg |
30〜49歳 | 1.4mg | 1.6mg | 15mg | 1.4mg | 2.4mg | 240μg | 5mg | 50μg | 100mg |
50〜64歳 | 1.3mg | 1.5mg | 14mg | 1.4mg | 2.4mg | 240μg | 6mg | 50μg | 100mg |
女性食事摂取基準
ビタミンB1(推奨量) | ビタミンB2(推奨量) | ナイアシン(推奨量) | ビタミンB6(推奨量) | ビタミンB12(推奨量) | 葉酸(推奨量) | パントテン酸(目安量) | ビオチン(目安量) | ビタミンC(推奨量) | |
18〜29歳 | 1.1mg | 1.2mg | 11mg | 1.1mg | 2.4mg | 240μg | 5mg | 50μg | 100mg |
30〜49歳 | 1.1mg | 1.2mg | 12mg | 1.1mg | 2.4mg | 240μg | 5mg | 50μg | 100mg |
50〜64歳 | 1.1mg | 1.2mg | 11mg | 1.1mg | 2.4mg | 240μg | 5mg | 50μg | 100mg |
過去に「過剰症」が報告されている「ビタミン」に関しては摂取量の上限である「許容上限量」が定められています。
「許容上限量」が定められてる「ビタミン」
ナイアシン(男性/女性) | ビタミンB6(男性/女性) | 葉酸 | |
18〜29歳 | 300mg/250mg | 55mg/45mg | 900μg |
30〜49歳 | 350mg/250mg | 60mg/45mg | 1,000μg |
50〜64歳 | 350mg/250mg | 55mg/45mg | 1,000μg |
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
食品だけの摂取で「許容上限量」に達することはほとんど考えられませんが、サプリメントなどを大量に摂取している場合は「許容上限量」を超える可能性もありますので注意が必要です。これは「脂溶性ビタミン」も「水溶性ビタミン」も同じです。
「代謝」にとって重要な「ビタミンB群」
「水溶性ビタミン」の中でも「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ビタミンB6」は食べ物から摂取した栄養を代謝するのに重要な「ビタミン」です。
代謝に関する「ビタミンB群」役割は以下の通りです。
ビタミンB群の働き | |
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ビタミンB1 | 糖質、脂肪酸の代謝を助ける |
ビタミンB2 | 糖質、脂肪、たんぱく質の代謝に関与 |
ナイアシン(ビタミンB3) | 糖質、脂肪、たんぱく質の代謝に関与 |
パントテン酸(ビタミンB5) | 補酵素としての機能 |
ビタミンB6 | たんぱく質の代謝に関与 |
ビオチン(ビタミンB7) | 補酵素としての機能 |
葉酸(ビタミンB9) | アミノ酸、核酸の代謝に関与 |
ビタミンB12 | 細胞の代謝に関与 |
「ビタミンB群」は三大栄養素である「炭水化物」、「たんぱく質」、「脂質」の分解から「ミトコンドリア」内での「TCA回路」まで様々な「代謝」の過程で重要な役割を果たしています。「ビタミンB群」の摂取が不足すると「代謝」がスムーズに行われなくなり体内での「エネルギー」産生がうまくいかなくなってしまいます。「代謝」と「ビタミン」に関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
まとめ
今回は「水溶性ビタミン」の1日に必要な摂取量についてまとめさせて頂きました。「水溶性ビタミン」の中でも「ビタミンB群」は三大栄養素の分解にとって重要な「ビタミン」です。次回は「脂溶性ビタミン」「水溶性ビタミン」を多く含んでいる食品をご紹介いたします。
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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/