こんにちは!管理栄養士の高安です。最近では女性の方がプロテインを摂取する機会も増え、妊娠中のプロテイン摂取についての質問をいただくことが多くなってきました。初めての妊娠だと特に摂取する食べ物には気をつかいますよね。今回は妊娠中の食事のポイントと注意点、プロテイン摂取についてお話したいと思います。
妊娠中の食事の基本
妊娠中の栄養管理は妊娠初期(〜13週)、妊娠中期(14週〜27週)、妊娠後期(28週〜)の3つにわけて考えられています。厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」で設定されている妊娠中の食事摂取基準は以下の通りです。推定必要エネルギーは身体活動レベルⅡの時の値を記載しています。
妊娠中の栄養 | ||||
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通常時(18〜49歳) | 妊娠初期 | 妊娠中期 | 妊娠後期 | |
推定エネルギー必要量 | 2,000〜2,050kcal | 2,050〜2,100kal (+50kcal) | 2,250〜2,300kcal (+250kcal) | 2,450〜2,500kcal (+450kcal) |
たんぱく質摂取量 | 50g | 50g(+0g) | 55g(+5g) | 75g(+25g) |
脂質(%エネルギー) | 20〜30% | 20〜30% | 20〜30% | 20〜30% |
炭水化物(%エネルギー) | 50〜60% | 50〜60% | 50〜60% | 50〜60% |
葉酸 | 240μg | 400μg | 440μg(+240μg) | 440μg(+240μg) |
マグネシウム | 270〜290mg | 310〜330mg(+40mg) | 310〜330mg(+40mg) | 310〜330mg(+40mg) |
鉄 | 10.5mg | 13.0mg(+2.5mg) | 20.0mg(+9.5mg) | 20.0mg(+9.5mg) |
亜鉛 | 8mg | 10mg(+2mg) | 10mg(+2mg) | 10mg(+2mg) |
参考:日本人の食事摂取基準(2020年度版)
妊娠初期はエネルギー、たんぱく質の付加量は通常時と比べて大きく変わりません。炭水化物や脂質のエネルギーに対する摂取割合は通常時と同じです。妊娠が進むにつれて「たんぱく質」の必要量が増加しているのがわかりますね。胎児が急激に大きくなっていくのも妊娠中期以降。胎児の発育のためにも「たんぱく質」の摂取は重要です。
三大栄養素以外に妊娠中に重要な栄養素の役割は以下の通りです。
葉酸
葉酸は胎児の神経管の形成のために重要な役割を果たします。葉酸の摂取が不足すると、「二分脊椎症」などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなると言われているため、妊娠初期から葉酸の摂取を意識する必要があります。葉酸はほうれん草などの葉物野菜やアボカド、いちごなどに多く含まれています。妊娠中は通常時の倍以上の葉酸摂取が必要となりますので、葉酸を多く含む食品とサプリメントなどを併用することがおすすめです。
カルシウム・マグネシウム
妊娠中は胎児の骨や歯を形成するために体内のカルシウム代謝が活発になります。そのため、食事によるカルシウムの付加量は設定されていませんが、食事からの摂取が不足している場合は意識的にカルシウムを摂取する必要があります。日本人はどの年代においてもカルシウムの摂取量が不足していると言われているため、妊娠中は牛乳や乳製品などを意識的に摂取するとよいでしょう。また、マグネシウムはカルシウムの吸収に欠かせない栄養素ですので、併せて摂取するように心がけましょう。
鉄
妊娠に伴い母体の血液量は20〜30%も増加します。それに伴い鉄欠乏性の貧血を発症しやすくなります。血液中の鉄が不足すると、立ちくらみ、頭痛、イラつきなどの症状も出てくることもあります。出産による出血も伴うため、妊娠中は特に鉄の摂取を意識するようにしましょう。赤身の肉や魚、緑黄色野菜や海藻類に多く含まれています。ビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収率が高まるので組み合わせる食品も工夫してみましょう。
妊娠中のプロテイン摂取について
妊娠が進むにつれて「たんぱく質」の摂取量は増加していきます。妊娠後期になると1日に75gのたんぱく質を摂取する必要があります。1日に75gのたんぱく質を摂取するための食事量は以下の通りです。
1日にたんぱく質75gを摂取するのに必要な食品 | |
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卵1個 | 7.4g |
納豆1パック | 8.3g |
牛乳200ml | 6.6g |
鮭切り身100g | 19.6g |
鶏もも肉皮つき100g | 17.3g |
ヨーグルト100g | 3.6g |
ごはん150g3杯 | 11.3g |
合計 | 74.1g |
参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年
なかなかの量ですよね。妊娠後期はお腹が大きくなるにつれて量が食べられなくなったり、体重コントロールが難しくなってくる時期です。食事からのたんぱく質摂取が難しい場合は少量でたんぱく質が摂取でき、炭水化物や脂質含有量が低いプロテインを取り入れてみるのも一つの方法です。
プロテインスプーン1杯(約12g)の栄養価 | |
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エネルギー | 46kcal |
たんぱく質 | 8.3g |
脂質 | 0.8g |
炭水化物 | 1.4g |
プロテインはたんぱく質が多く、炭水化物や脂質含有量が少ない食品ですが、過剰に摂取すると体重増加や便秘などの症状が出てくる可能性もあります。ご自身の体調や食事量に応じて必要な量を取り入れるようにしましょう。摂取量に不安がある時は普段通われている産婦人科にも栄養士さんがいると思いますので、相談してみるのもよいかもしれません。
まとめ
妊娠中の食事管理はとても大変ですよね。妊娠前は何も気にすることなく食べていたものが急に食べられなくなったり、つわりやお腹のはりなどのマイナートラブルが頻発したり、体重コントロールが極端に難しくなったりと悩みはつきません。今回ご紹介した妊娠中の食事のポイントを参考にしていただき、マタニティライフを楽しんでくださいね!
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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/