細胞レベルでの代謝〜TCA回路と電子伝達系〜

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。今まで、「アミノ酸の細胞レベルでの代謝」(詳しくはこちら代謝とは?〜細胞レベルでの代謝〜)、「脂肪酸の細胞レベルでの代謝」(詳しくはこちら代謝とは?細胞レベルでの代謝-脂質編-)「糖質の細胞レベルでの代謝」(詳しくはこちら代謝とは?細胞レベルでの代謝-糖質編-)についてお話してきました。今回は「細胞レベルでの代謝」の総まとめ。「TCA回路」と「電子伝達系」についてです。

「TCA回路」とは?

「糖質」、「脂質」、「アミノ酸」は様々な経路で分解され「ミトコンドリア」内に取り込まれて「アセチルCoA」という物質になり「TCA回路」へ進んでいくというお話をしてきました。「TCA回路」は「ミトコンドリア」に存在する「マトリクス」という場所で行われている代謝経路です。「アセチルCoA」が「クエン酸」に分解されることから始まる9段階の代謝を「TCA回路」と呼びます。

出典:技術評論社 代謝ガイドブック TCA回路

上の図からもわかるように、「クエン酸」は「オキサロ酢酸」に変換され、この「オキサロ酢酸」はまた「クエン酸」に変換されます。この反応は繰り返し行われているため「TCA回路(TCAサイクル)」と呼ばれています。この反応は「酸素」を必要としている反応です。「TCA回路」は酸素呼吸をおこなう生物全般に備わっている最も重要な代謝経路なのです。

私たちの活動のエネルギーになっているATPは「TCA回路」では生成されません。「TCA回路」で「クエン酸」が分解される過程で生成される「NADH」と「FADH2」という物質が次に説明する「電子伝達系」に取り込まれることでATPが生成されます。

「電子伝達系」とは?

「電子伝達系」は酸素を必要とする代謝系の最終段階と言えます。この「電子伝達系」も「ミトコンドリア」内に存在し、「TCA回路」で分解された「NADH」や「FADH2」という物質を利用してATPが生成されます。「糖質」を分解する「解糖系」では1分子の「ブドウ糖(グルコース)」から2つのATPしか生成されなかったのに対し、「電子伝達系」では1分子の「ブドウ糖(グルコース)」から38分子のATPが合成されます。「ミトコンドリア」で生成された多くのATPは「ミトコンドリア」から「細胞質」内へ出ることによって最終的にエネルギー源となります。「細胞」の構成については下記の図を参考にしてください。

酸素を必要としない「解糖系」と酸素を必要とする「電子伝達系」ではこれだけ生成されるATPの分子量に差が出るのです。代謝にとって「酸素」の存在はとても重要ということがわかっていただけましたでしょうか?

まとめ

いかがでしたでしょうか?この「細胞レベルの代謝」のお話で一番理解して頂きたかったことは「糖質」も「脂質」も「アミノ酸」もエネルギーを産生するために結局は同じ物質(アセチルCoA)に分解され最終的には「TCA回路」に取り込まれていくということです。そして、「TCA回路」で「クエン酸」が分解される過程で生成する「NADH」や「FADH2」が「電子伝達系」に入りATPを生成します。この一連の流れを理解して頂ければ「細胞レベルでの代謝」については問題ないかと思います。かなり細かい話になっているので難しかったかもしれませんね。目に見える反応ではないのであまり実感がわかないかもしれませんが、これらの反応が体内で行われているのはすごいことだと思いませんか?

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/