栄養成分による代謝の違いを知る-たんぱく質-

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。三大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝に関しての基本的なところをおさらいしていきましょう。栄養成分による代謝の違いを知る、今回はたんぱく質についてです。炭水化物に関する記事はこちら(栄養成分の違いによる代謝の違いを知る-炭水化物-)をご確認ください。

たんぱく質とは

たんぱく質とは複数のアミノ酸が鎖状につながったもので、炭水化物・脂質とともに三大栄養素と言われます。たんぱく質1gあたり4kcalです。水分の次に私たちのカラダに多く含まれているのがたんぱく質です。たんぱく質は筋肉や臓器、毛髪などカラダの構成成分となったり、消化吸収に欠かせない酵素やホルモンの材料にもなるとても大切な栄養素です。たんぱく質が不足すると、筋肉量の減少、髪の毛や肌のトラブル、集中力の低下など様々なカラダの不調の原因になります。

高齢者の筋肉低下による寝たきりもたんぱく質の摂取不足が一因とも言われています。そして、最近では若い女性のやせも問題に。カロリー制限しすぎて相対的にたんぱく質摂取量が不足してしまうこともあります。たんぱく質摂取量が不足することで全身の筋肉量が低下し、体重は軽いのに体脂肪が多い隠れ肥満…なんて事にもなりかねません。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質

たんぱく質には肉、魚、卵、牛乳などの動物性たんぱく質と豆腐やきなこなどの植物性たんぱく質の2つがあります。プロテインでいうと乳成分を原材料としているホエイプロテインやカゼインプロテインが前者、大豆を原材料としているソイプロテインが後者ですね。

動物性たんぱく質には体内で作り出すことが出来ない必須アミノ酸(詳細はこちらいまさら聞けないアミノ酸のお話)が多く含まれ、体内への消化吸収も良いとされています。動物性たんぱく質は、成長期のお子さんや筋力が低下している高齢者の方におすすめです。その一方で、植物性たんぱく質よりも脂質が含まれる割合が高く、過剰に摂取すると体重増加の要因にもなるため、食べ過ぎには注意が必要です。

植物性たんぱく質は必須アミノ酸の一部が不足している事があり、動物性たんぱく質に比べると体内での利用効率も低いと言われています。ですが、動物性たんぱく質と比較すると脂質が低いため、ダイエット中の方にはおすすめのたんぱく質です。

一般的によく購入されている食材の1食あたりのたんぱく質・脂質の含有量を一覧にしましたので、食品選択の参考にしてみてください。

 たんぱく質(g)脂質(g)
鶏もも肉(皮付き)100g16.6g14.2g
豚肩ロース脂身つき100g17.1g19.2g
牛肩ロース脂身つき100g17.9g17.4g
鮭(ぎんざけ)100g19.6g12.8g
鶏卵1個7.3g6.1g
納豆1パック・50g8.3g5.0g
豆腐1/4丁・75g5.3g3.5g
無調整豆乳200cc7.2g4.0g
ごはん150g3.8g0.5g
食パン8枚切り1枚4.5g2.1g

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

たんぱく質の代謝

たんぱく質は胃酸に含まれるペプシンの作用によって、ポリペプチドやオリゴペプチドに分解されます。その後、膵液に含まれているトリプシン、キモトリプシンや小腸上皮細胞にあるペプチターゼの作用によって最終的にアミノ酸にまで分解され、アミノ酸からアミノ基が離れることによって様々な物質に変換されTCA回路へと入っていきます。(TCA回路に関する詳しい記事はこちら細胞レベルでの代謝〜TCA回路と電子伝達系〜)。

私たちの体内のたんぱく質は常に分解と合成を繰り返しています。1日に必要とされるたんぱく質は、体重1kgあたり1.0〜2.0kg。必要以上のたんぱく質を摂取したとしても、たんぱく質は体外に尿素として排出されたりグリコーゲンや脂肪などに変換され体内に蓄えられていきます。たんぱく質はたくさんとれば良いというものでもありません。ご自身の体重やトレーニングの状況に応じて1日に必要なたんぱく質量を摂取するようにしましょう。

まとめ

たんぱく質は筋肉や臓器などからだの構成成分として重要な栄養素です。たんぱく質摂取量が不足すると、筋肉量の低下や免疫力の低下など様々な不調がでてくることがあります。かといって必要以上にたんぱく質を摂取したとしても不要な分は排泄されてしまったり、脂肪として体内に蓄えられてしまいます。たんぱく質摂取の目安は体重1kgあたり1.0〜2.0gです。特にハードなトレーニングをしていない場合は、体重1kgあたり1.5g前後を目安とするとよいでしょう。

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/