「たんぱく質」と「アンモニア」の関係

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。今ままで様々な角度から「代謝」に関する記事を書かせて頂いてきました。今回は「三大栄養素」の中でも皆さんが最も関心が深い「たんぱく質」の代謝に関して少し補足させて頂きたいと思います。

「アミノ酸」の代謝産物「アンモニア」

食事から摂取した「たんぱく質」は体内で「アミノ酸」に分解されます。その後「アミノ酸」から「アミノ基」が離れることによって最終的に「TCA回路」に入りエネルギーを生成するというお話は以前させて頂きました。(詳しくはこちらhttps://limitest.jp/meal/what-is-metabolism-02/ )

「アミノ酸」は「糖質」や「脂質」と異なり「N(窒素)」を分子中に含んでいるという特徴があります。この「N(窒素)」があることで「アミノ酸」が分解される過程で「NH3(アンモニア)」が生成されます。「アンモニア」はカラダにとって有害物質なため、「アンモニア」を無毒化する経路が必要になります。それが「尿素回路」と呼ばれるものです。

「尿素回路」とは?

「尿素回路」は肝細胞のミトコンドリアに存在します。「アンモニア」は体内にとって有害な物質のためそのままの状態で血液を介して肝臓に運ぶことができません。「脱アミノ反応」によって生成した「アンモニア」は一度「グルタミン」や「アラニン」などのアミノ酸に変換されてから肝臓に運ばれ、「尿素回路」によって分解されます。「尿素回路」に入った「グルタミン」や「アラニン」は最終的に「オルニチン」と「尿素」にまで分解されます。「尿素回路」で生成された「尿素」は「腎臓」で濾過され尿中に排泄されます。「たんぱく質」の摂取量が多くなると肝臓や腎臓が疲れやすくなると言われているのはこのためです。

「たんぱく質」と「腎臓」の関係

先ほどもお伝えした通り、「たんぱく質」の代謝によって生じた「尿素」は「腎臓」で濾過され尿として体外に排出されます。「腎臓」の大きな役割に「濾過」と「再吸収」という機能があります。「腎臓」は「糸球体」と「尿細管」から構成されており、「糸球体」が濾過機能を、「尿細管」が再吸収機能を担っています。濾過の役割を果たしている「糸球体」は毛細血管が毛糸の様に集まり網目状になっています。そこを血液が通ることで体内に必要な物質(ブドウ糖やたんぱく質)は体外に排出されずに血液中に残り、尿素の様に不要な物質は尿として体外に排出されます。

「糸球体」の濾過機能は一度低下してしまうと元に戻すことができないと言われています。「糸球体」は毛細血管の集まりです。何らかの要因で血管がもろくなり本来は排出されない「ブドウ糖」や「たんぱく質」が体外に排出されてしまうこともあります。もし「腎機能」に問題がある場合は「プロテイン」や「たんぱく質」の摂取量を制限する必要があります。「腎機能」が低下するのは主に高齢者だと思われがちですが、「尿路感染症」や「腎盂腎炎」などの感染症の発症時にも「腎機能」は低下します。

「プロテイン」は少量で多くの「たんぱく質」を摂取することが可能ですが、それがかえって臓器に負担をかけてしまうケースもあります。「たんぱく質」摂取量を増やす時には「腎機能」に問題がないかを必ずチェックする様にしてください。もし「腎機能」に問題がある場合には医師や管理栄養士に「プロテイン」の使用について必ず相談する様にしてくださいね。

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/