「たんぱく質」を効率よく消化・吸収するためには?

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。日頃から「たんぱく質」の摂取を意識されているみなさん、少しでも効率よく「たんぱく質」を体内に吸収させたいと思いませんか??食品中に含まれている「たんぱく質」含有量にばかり目がいきがちですが、その他の栄養素にも注目することも大切です。もしくは「たんぱく質」の消化・吸収を助ける「ビタミン」を含んでいる食品と一緒に摂取することも必要です。「たんぱく質」の代謝に注目しながら効率の良い「たんぱく質」摂取方法についても考えていきたいと思います。

「たんぱく質」の代謝

まずは「たんぱく質」の代謝について復習したいと思います。体内に取り込まれた「たんぱく質」は胃から分泌される「ペプシン」という酵素によってアミノ酸分子が結合した「ペプトン」という物質に分解されます。その後、胃から十二指腸に移動した「ペプトン」は膵臓から分泌される「トリプシン」、「キモトリプシン」によってさらに細かく分解され、小腸の細胞膜に存在する「ペプシターゼ」という酵素によって最終的に「アミノ酸」にまで分解されます。「アミノ酸」にまで分解されたあとは門脈を経由して「肝臓」に運ばれ新しい「たんぱく質」の合成やエネルギー源として利用されます。ちなみに、体内で生合成できる「アミノ酸」を「非必須アミノ酸」と言い、体内で生合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」と言いましたね。「必須アミノ酸」についての記事はこちら(https://limitest.jp/meal/not-hear-amino/

この様な経路で代謝される「たんぱく質」ですが、消化・吸収され新しい「たんぱく質」の合成に欠かせない物質が「ビタミンB6」と「ビタミンC」なのです。

「たんぱく質」と「ビタミンB6」の関係性

「ビタミンB6」は肝臓における「アミノ酸代謝」において合成から分解まで幅広く関わっています。「ビタミンB6」が不足すると「たんぱく質」の代謝がうまくいかなくなります。つまり、「たんぱく質」摂取量が増加すれば「ビタミンB6」の必要量も増加するということです。また、「ビタミンB6」はホルモン代謝にも関与しています。「ビタミンB6」は女性ホルモンの一つである「エストロゲン」や神経伝達物質である「セロトニン」の合成にも不可欠な栄養素です。

「ビタミンB6」の1日の必要量は以下の通りです。

男性女性
推奨量(18歳以上)1.4mg1.2mg

参考)日本人の食事摂取基準2015

「ビタミンB6」を多く含む食品をまとめました。それぞれ100gあたりの数値を記載しています。

エネルギーたんぱく質ビタミンB6
みなみまぐろ95kcal21.6g1.08mg
かつお・秋獲165kcal25g0.76mg
鶏ささみ114kcal24.6g0.66mg
牛レバー132kcal19.6g0.89mg
にんにく136kcal6.4g1.53mg
バナナ・生86kcal1.1g0.38mg
ピスタチオ615kcal17.4g1.22mg

参考)日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

「ビタミンB6」は「マグロ」や「かつお」などの赤身の魚や「牛レバー」、「鶏ささみ」に多く含まれています。これらの「動物性食品」は「たんぱく質」も「ビタミンB6」も同時に摂取できるのでとても効率的です。「植物性食品」においては「にんにく」や「ピスタチオ」に「ビタミンB6」は多く含まれるのですがどちらも100g摂取するというのは現実的ではありませんね。

「たんぱく質」含有量とコストパフォーマンスだけ考えると「たんぱく質=鶏肉」になりがちではありませんか?効率よく「筋肉」をつけるためには「たんぱく質」の含有量だけではなく、「たんぱく質」の生合成に不可欠な「ビタミンB6」にも注目して食材を選ぶことも大切です。

「たんぱく質」と「ビタミンC」の関係

「ビタミンC」は「たんぱく質」のなかでも「コラーゲン」の生合成に関与しています。「コラーゲン」は細胞と細胞をつなぎ合わせる接着剤の役割をしたり、皮膚や臓器、骨などを形成する「たんぱく質」として重要な働きをしています。「ビタミンC」が不足すると「コラーゲン」の生合成がうまくいかなくなりカラダを支える上で重要な「骨」の構造がもろくなってしまう可能性もでてきます。また、「ビタミンC」には抗酸化作用もあるためトレーニングなどでの筋崩壊による体内の炎症を抑えるためにも重要な栄養素です。

「ビタミンC」の1日の必要量は以下の通りです。

男性女性
推奨量(18歳以上)100mg100mg

参考)日本人の食事摂取基準2015

「ビタミンC」を多く含む食品をまとめました。それぞれ100gあたりの数値を記載しています。

エネルギーたんぱく質ビタミンC
レモン・全果54kcal0.9g100mg
赤ピーマン30kcal1.0g170mg
菜の花33kcal4.4g130mg
にがうり17kcal1.0g76mg

参考)日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年

「ビタミンC」というと「レモン」などの柑橘系と思われるかもしれませんが、「ピーマン」や「ゴーヤ」などの野菜類にも含まれています。ただ「ビタミンC」は熱に弱いという特徴もあります。加熱する場合は強火でサッと炒めると良いでしょう。「ビタミンC」の熱損失を考慮すると、一番効率が良いのは焼いた肉や魚に「レモン」を添えるという方法かもしれませんね。

いかがでしたでしょうか?「たんぱく質」の消化・吸収には「ビタミン」が重要だということをご理解頂けたと思います。単純に「たんぱく質」含有量だけに注目するのではなく、「たんぱく質」の代謝も意識して食品を選ぶことも大切ですよ!

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/