「フレイル」とは?

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。突然ですが、みなさんは「フレイル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「フレイル」は近年問題になっている高齢者の身体状況に関連する用語です。まだまだ自分には関係ないと思われているかもしれませんが、日頃の食生活によっては将来的に「フレイル」になる危険性がゼロではありません。早いうちに正しい知識を身につけることで、将来的な「フレイル」のリスクを減らすことが可能になります。

「フレイル」とは?

40代、50代のうちは食べ過ぎや太り過ぎによる「メタボリックシンドローム」がクローズアップされがちですが、60代以上の高齢者は「低栄養」や「筋力低下」などからくる「フレイル」が問題となっています。

「フレイル」とは?

「フレイル」とは「Frailty(虚弱)」の日本語訳で2014年に日本老年医学会が提唱した概念です。健康な状態から「要介護」になる前段階を表し、身体的機能や認知機能が低下している状態を指します。「フレイル」の段階で適切な対応を行うことで「要介護」状態にならず健康な状態を維持することができる可能性があります。「要介護」状態になる前の「フレイル」の段階で様々な対応をすることが重要とされています。

「フレイル」の原因

「フレイル」は低栄養や筋力低下などの「身体的要素」、認知症やうつなどの「精神・心理的要素」、独居や閉じこもりなどの「社会的要素」の3つから構成されます。この3つの要素が関連することで「ADL(日常生活動作)」の低下や「生活機能障害」が起こり、最終的には「介護」が必要な状態になってしまうと言われています。

この3つの要素の中で特に「栄養」と関係が深いのが「身体的要素」である「低栄養」や「筋力低下」の状態です。そもそも「フレイル」は加齢による活動量や食事量の低下による「低栄養」状態がスタートになることが多く見受けられます。食事量が減少することで低栄養になり、体重や筋肉量が減少しすることで様々な疾患にかかるリスクも増大します。さらに認知機能が低下したり、社会参加の機会が減少したりと負のスパイラルに陥りやすくなってしまうのです。

「フレイル」の予防には「たんぱく質」が重要

「体重減少の有無(意図せず年間4-5kgの体重減少があったか)」、「筋力(握力)の低下」、「歩行スピードの低下」、「疲労感、身体活動の低下があるかどうか」を確認することで簡易的に「フレイル」の状態かどうかのスクリーニングすることが出来ます。

「フレイル」を予防するための一番のポイントは「体重減少」や「筋肉量低下」、「低栄養状態」にならないために「たんぱく質」の摂取量を確保することです。食事量が減少すると肉や魚などの「たんぱく質」摂取量が減少する傾向にあります。筋力を維持するためにも高齢者には積極的な「たんぱく質」摂取が勧められています(※)。

年代別の1日に必要な「たんぱく質」摂取量は以下の通りです。

 男性(推奨量)女性(推奨量)
18〜29歳65g50g
30〜49歳65g50g
50〜64歳65g50g
65〜74歳60g50g
75歳以上60g50g

引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)

上の表からもわかるように、65歳以上の高齢者でも現役世代とほとんど「たんぱく質」の推奨量が変わらないのです。食事量が少なくなりがちな高齢者が1日に必要な「たんぱく質」の量を確保するのはなかなか難しいのが現状です。

※身体状況や疾病により「たんぱく質」摂取量を増やせない場合もありますので、食事の詳細はかかりつけの医師や管理栄養士に相談してください。

まとめ

若くて健康なうちは多少食生活が乱れたとしても日常生活には大きな支障が出ることは少ないかもしれません。ですが、若いうちから積み重ねた「習慣」をいざ「フレイル」の状態になったからといってすぐに変えることは難しいものです。高齢者にとっても重要な栄養素である「たんぱく質」。必要になってから意識するのではなく、30代40代のうちから意識して食事に取り入れていく様にしましょう!

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/