こんにちは!管理栄養士の高安です。さて、久しぶりの「プロテイン必要?必要じゃない?」シリーズ。今回は30代を過ぎて少しずつ下っ腹が出てきたエンジニアの男性E君のケースです。もしかしたら、これって自分のこと?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。もしご自身の状況と似ている場合はぜひ参考にして頂けると嬉しいです。
過去2回の連載はこちらよりご確認ください。
Case1:40代男性編 https://limitest.jp/meal/need-protein-is-nt-it-necessary/
Case2:30代女性編 https://limitest.jp/meal/need-protein-is-nt-it-necessary3/
Case3:30代男性、最近目立ってきた下っ腹をどうにかしたい
エンジニアのE君は今まであまり運動経験がなく、運動もあまり得意な方ではありません。身長167cm、体重67kg、体脂肪率23%。見た目にはそこまで太って見えませんが、下っ腹だけぽっこりしています。最近目立ってきた下っ腹が気になり、「減量」と「筋力アップ」が目的で1ヶ月前に24時間営業のジムに入会しました。
まずはE君のライフスタイルについて詳しく見ていきましょう。
E君の代表的な1日(平日)
行動内容 | 食事など | |
---|---|---|
8:30 | 起床 | 朝食は食べずに出勤 |
10:00 | 出勤 終日デスクワーク | デスクについてエナジードリンクとコンビニのシュークリーム |
15:00 | 昼食 | 会社近くの定食屋で焼き魚定食・ご飯少なめを注文 |
16:00 | デスクに戻り作業再開 | ブラックコーヒー2杯 |
20:00 | 軽めの夕食 | コンビニのおにぎり2個 |
23:00 | 24時間ジムで軽く筋トレと有酸素運動 | 運動後にプロテイン |
26:00 | 帰宅、就寝 | 多少の空腹感はあるが何も食べずに就寝 |
もともと食が細いE君、今までは作業中にスナック菓子を食べていたのですがジム通いを始めて間食はやめました。なんとなく「ご飯」も減らして「糖質制限」をしています。この生活をスタートして1ヶ月。体重は一気に5kg減った様です。ですが、最近疲れやすく集中力が途切れがちになるそうです。そんなE君にとって「プロテイン」は必要でしょうか?必要ではないでしょうか?
極端なエネルギー制限に注意を!
以前、「1日に必要なカロリーってどのくらい?〜1日に必要なエネルギー量を把握しよう〜」という記事で「1日に必要なエネルギー量」についてお話しさせていただきました(詳しくはこちらhttps://limitest.jp/meal/2019_0520_calori…eded_for_one_day/)
1日に必要なエネルギーは
推定必要エネルギー=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
で算出することができましたね。1日の基礎代謝基準値は以下の表の通りです。
引用:厚生労働省eヘルスネットHP
この計算式にE君を当てはめてみましょう。
30代男性の基礎代謝基準値は22.3kcal/kg/日。
E君の体重は67kgですので、基礎代謝量は22.3kcal/kg/日×67kg=約1,500kcal。
基礎代謝量に「身体活動レベル」をかけますので、
1,500kcal×身体活動レベル(低い 1.50)=2,250kcal
1日2,250kcalがE君が必要としているエネルギー量です。
では、E君の1日の「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスを見てみましょう。1日2,250kcal必要なのに対し、E君が1日に摂取している食事は「エナジードリンク、シュークリーム、定食、おにぎり2個、プロテイン」のみ。1,500kcal前後といったところでしょうか。明らかに「摂取エネルギー」が不足しているということがわかります。
ここまで極端なエネルギー制限をすれば、確かに1ヶ月で5kgの減量も可能かもしれません。でも、この生活を一生続けるのは不可能です。実際、E君は最近疲れやすさや集中力のなさを感じています。それもそのはず。基礎代謝程度のエネルギーしか摂取していない状況では脳や臓器に十分なエネルギーがいきわたらず、日常生活を送ることですら難しくなってしまいます。
これでは「体重」を減らすことができたとしても「筋肉」は一向につきません。「体重」が減っている割にカラダのラインやぽっこりお腹は解消されません。むしろ食事制限をしすぎた反動によるリバウンドのリスクも高くなります。E君の場合は「プロテイン」が必要かどうか以前に自分が摂取するべき1日のエネルギー量を把握し、食事量と活動量をコントロールしていくことが優先です。
まとめ
「ダイエット」は単純に「摂取エネルギー」量を食事量を減らすことではありません。当然、体重を減らすためには「摂取エネルギー<消費エネルギー」の構図をつくることは重要ですが、最低限摂取しなければいけないエネルギー量がある。ということを忘れない様にしてください。極端な「ダイエット」ではなく、1ヶ月で1kg程度のゆっくりとしたペースでの体重コントロールをおすすめいたします。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
食事に困った時にはプロに相談してみませんか??
SNSを使った食事のパーソナルトレーニングも対応しております。
管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/