食品のカロリーが変わる?「日本食品標準成分表」の改定

食事と栄養

こんにちは!管理栄養士の高安です。みなさんは食品を購入する時に意識していることはなんですか?「価格」「産地」「栄養価」「製造者」など様々な情報を元にどの食品を購入するか決めているかと思います。食品の「栄養価」は文部科学省が発行している「日本食品標準成分表」に記載されています。私たち栄養士がカロリー計算をする時に「日本食品標準成分表」は必須アイテム。この「日本食品標準成分表」が2020年に改定され「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」となりました。今回は「日本食品標準成分表」改定のポイントについてお伝えしようと思います。

「日本食品標準成分表」とは?

「日本食品標準成分表」は食品に含まれている栄養成分の基礎的データ集として戦後の昭和25年に初めて発行されました。その後、食品数の追加などが行われ現在に至ります。「日本食品標準成分表」は文部科学省が発行しています。食品に関わることなのになぜ文部科学省?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。戦後の国民の栄養改善の観点から経済安定本部が取りまとめを始め、2001年の省庁合併に伴い、文部科学省に引き継がれました。食品に関する行政を担当する省庁が複数あるなかで、文部科学省が横断的・中立的な立場から客観的なデータの提供を行なっているのだそうです。

今回5年ぶりの改定により掲載されている食品数は2,478食品となりました。

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の改定ポイント

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の改定ポイントは以下の通りです。

調理済食品に関する情報を充実

今までの18群に「調理加工食品類」として一部の冷凍食品の情報が掲載されていました。今回の改定から18群を「調理済み流通食品類」として業者から収集した原材料配合に基づく成分値を追加掲載しています。あくまでも「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に掲載されている加工食品の栄養価は一例であり、同じ名称の加工食品でも使用している原材料や原材料の配合量によって栄養価が異なる場合があります。今は加工食品の「栄養成分表示」も義務付けられていますので、特定の加工食品の栄養価については製造元に確認すると良いでしょう。

エネルギー算出法の変更

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」ではそれぞれの食品のエネルギー算出法が変更になりました。変更点については下表の通りです。

参考:文部科学省HP

今までのエネルギー値は「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「その他のエネルギー産生成分(アルコール、酢酸等)」の量に各成分のエネルギー換算係数を乗じて計算する「修正Atwater法」という計算方法が用いられていました。この計算方法では「アミノ酸組成」や「脂肪酸組成」など食品による栄養素の構成成分の違いが加味されていなかったため、エネルギー値算出にあたっての誤差がある。などの指摘もありました。これらを改善するために、国際的にも推奨されている「組成ごとのエネルギー換算係数」を乗じた算出方法が今回の改定から用いられることになりました。

ちょっと複雑ですね。。。要は一部食品で栄養価が変わるものがある。ということです。今までのエネルギーはなんだったのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の改定でより正確なエネルギー値がわかる様になった。と思っていただけるとよいと思います。

日頃摂取している食事のカロリー計算を行なっている方は早い段階で「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の値を用いて栄養計算してみるのもよいでしょう。今後各出版社から「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の書籍が発売されていく予定です。文部科学省のHPにはすでにデータも記載されていますので、こちらも参考にしてみてください。

七訂追補(2016〜2019)の検討結果を全体に反映

成分表2015年版(七訂)公表後、毎年追補等が公表され合計で416食品の成分値が改定されてきました。それらの検討結果を全体に反映させ、収載食品数は2,191食品から2,478食品に増加しています。

まとめ

何と言っても今回の「日本食品標準成分表」の改定ポイントはエネルギー値の算出方法が変更になったということだと思います。今までのカロリー計算はなんだったの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが技術や研究の成果により、より正確なカロリー計算が可能になった。と前向きに捉えていただければと思います。しばらくは7訂と8訂の計算結果が混在することになると思いますので、どちらの成分表を用いた計算結果なのかは確認しておく必要がありますね。

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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/