いまさら聞けない栄養の話、最終回は「ミネラル(無機質)」のお話です。
ミネラルは私たちのカラダの構成成分であると同時に、ビタミン同様、「カラダの調子を整える栄養素」として非常に重要な役割を果たしています。
「ミネラル(無機質)」とは
みなさんは「ミネラル」と聞いてどんな栄養素を思い浮かべますか?鉄分、カルシウム、、、、、。パッと思い浮かぶのはこの辺りでしょうか。ミネラルは体内では合成することができないため、食べ物から摂取する必要がある栄養素の一つです。厚生労働省が定めている「食事摂取基準(2015年版)」では、ミネラルのうち、「ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン」の13種類について摂取基準量が設定されています。
それぞれのミネラルの役割をまとめました。
役割 | |
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ナトリウム | 細胞の外(主に血液)の成分、体液の浸透圧の調整に関与 |
カリウム | 細胞の内に存在する体液の成分、体液の浸透圧の調整に関与 |
カルシウム | 骨および歯の構成成分、血液や細胞にも存在し筋肉の収縮に関与 |
マグネシウム | 骨の維持、酵素反応に関与 |
リン | 骨、歯、筋肉に存在し、エネルギー代謝に関与 |
鉄 | ヘモグロビンや代謝酵素の構成成分 |
亜鉛 | たんぱく質の合成に関与 |
銅 | 代謝酵素の構成成分 |
マンガン | 骨代謝、糖脂質代謝、運動機能の調整 |
ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの構成成分 |
セレン | 代謝酵素の成分、過酸化物の代謝に関与 |
クロム | 糖代謝に関与 |
モリブデン | 代謝酵素の成分 |
多くのミネラルが代謝を調整している酵素の構成成分となっていたり、その酵素の働きを助ける補酵素としての役割を果たしています。つまりそれが、ミネラルは「カラダの調整を整える栄養素」と言われる所以なのです。
「筋肉」と「カルシウム」、「筋肉」と「亜鉛」の関係
筋肉と関係の深いミネラルには「カルシウム」と「亜鉛」があります。
体内のカルシウムのうち99%は骨や歯に蓄えられていますが、残り1%は血液や筋肉細胞に存在し、筋肉の収縮に関与しています。カルシウムと言えば、骨を丈夫にするための栄養素としてのイメージが強いかもしれませんが、実は筋肉の収縮にも大きな影響を与えているのです。
筋肉は「アクチン」と「ミオシン」というたんぱく質で構成されており、この2つの筋原繊維が「滑る」ことによって筋収縮が起こります。実はこの「アクチン」と「ミオシン」の滑り現象を助けているのが、「カルシウムイオン」なのです。つまり、体内のカルシウムが不足すると、筋肉の収縮がうまくいかなくなり筋疲労や肉離れに繋がりやすくなります。たんぱく質代謝にはビタミンB6が必要不可欠ということはすでにお伝えしましたが(詳細はこちらhttp://limitest.jp/meal/not-hear-vitamin/)、質の良い筋肉を作る上ではビタミンB6だけではなく、「カルシウム」も重要な栄養素と言えます。
また、亜鉛は代謝反応に必要な酵素の成分であると同時に、たんぱく質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写において重要な役割を果たしています。つまり、亜鉛の摂取量が不足するとたんぱく質の合成がうまくいかなくなるのです。せっかく筋トレをしたとしても亜鉛が不足していると、たんぱく質の合成がうまくいかず、効率が悪くなってしまいますね。
カルシウムと亜鉛を多く含む食品をまとめました。
多く含む食品 | |
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カルシウム | 牛乳、チーズ、小魚、海藻類、豆乳、小松菜、モロヘイヤなど |
亜鉛 | 豚レバー、カキ、高野豆腐、うなぎ、しじみなど |
筋肉を増やすために、たんぱく質のみを摂取するだけではなく、筋肉の収縮やたんぱく質の合成に関係している「カルシウム」や「亜鉛」などのミネラルにも着目して食品を選んでみてはいかがでしょうか?
「ミネラル」は多くとればとるほどよいのか?
ビタミンの回でも同じような問いかけをしましたが、ミネラルも多く摂取すれば摂取するほど良いのでしょうか?
もうおわかりかと思いますが、正解はNOです。ビタミン同様、ミネラルも多く摂取しすぎると過剰症になり、カラダに不調をきたすことがあります。特にサプリメントを多用している場合は過剰症への注意が必要です。繰り返しにはなってしまいますが、あくまでも食事の基本は主食・主菜・副菜をバランス良く。それを忘れずに、ご自身の状況に応じて様々な食品やサプリメントを上手に選択していくようにしてください。必要に応じて専門家からのアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
今回まで複数回にわたり、「いまさら聞けない」シリーズとして五大栄養素の役割をお話してまいりました。ここまで読んでくださっている皆さまは、それぞれの食品が単体で効果を発揮しているのではなく、お互いに作用しあうことでカラダを構成し、生命活動を維持しているということがご理解いただけたかと思います。
これだけ食べていれば大丈夫。という食品は残念ながら存在しません。一つの食品に偏ることなく、様々な食品を組み合わせながら、バランスの良い食事を心がけていってくださいね。
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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ http://chietakayasu-dietitian.strikingly.com/