こんにちは!管理栄養士の高安です。ジュニアアスリートは貧血になりやすいのをご存知ですか?成長に伴い鉄の必要量が増加するだけでなく、日々の激しい運動で鉄の消費量が増加することが、ジュニアアスリートが貧血になりやすい原因の一つです。鉄は日本人が不足しやすい栄養素ですので、意識して食事に取り入れていく必要があります。貧血の状態が長く続くと慢性的な疲労だけでなく、パフォーマンスの低下や最悪の場合、怪我にもつながります。しっかりとしたカラダを作る上でも毎日の鉄摂取は欠かせません。簡単にできる貧血のチェック方法や、鉄を効率よく食事から摂取するためのポイントについてご紹介します。
貧血とは?鉄の役割
一般的な貧血とは、鉄の不足によっておこる鉄欠乏性貧血のことをいいます。貧血は血液中のヘモグロビンの値が減少した状態で、立ちくらみやめまい、息切れ、ふらつきなどが主な症状です。ヘモグロビンは赤血球の主な成分で、鉄を含む「ヘム」とたんぱく質の「グロビン」が結合したものです。ヘモグロビンは酸素と結合し、全身に酸素を運ぶ役割があります。体内の鉄が不足すると、血液中のヘモグロビンが不足し、全身に十分な酸素が行き渡らなくなるため、立ちくらみやめまいなどの症状が現れます。血液検査でヘモグロビンの値が、男性で13mg/dl、女性で12mg/dl以下になると貧血と診断されます。
ジュニアアスリートと貧血
日頃から激しい運動をしているアスリートは貧血になりやすい傾向にあります。激しいトレーニングによる体内の鉄需要に対して、食事などからの供給が間に合わないと鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。激しい練習と鉄の必要量が増加する成長期が重なるジュニアアスリートは、特に貧血に注意が必要です。女性の場合、月経による鉄の損失も加味する必要があるため、1日の鉄の必要量は多くなります。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定められている鉄の推奨量は以下の通りです。
男性 | 女性 | |
6〜7歳 | 5.5mg | 5.5mg |
8〜9歳 | 7.0mg | 7.5mg |
10〜11歳 | 8.5mg | 12.0mg |
12〜14歳 | 10.0mg | 12.0mg |
15〜17歳 | 10.0mg | 10.5mg |
18〜29歳 | 7.5mg | 10.5mg |
30〜49歳 | 7.5mg | 10.5mg |
50〜64歳 | 7.5mg | 11.0mg |
65〜74歳 | 7.5mg | 6.0mg |
75歳以上 | 7.0mg | 6.0mg |
※女性の10〜64歳は月経ありの場合の推奨量
引用:日本人の食事摂取基準(2020年度版)
簡単にわかる貧血チェック方法
貧血は立ちくらみ、めまい、息切れの症状以外にも爪やまぶたの状態からも判断することができます。簡単に貧血がわかるチェック項目は以下の通りです。
爪が割れやすい、血色が悪い、そりかえっている
健康な爪は血色がよく、アーチを描いて指先を覆っています。爪の状態を見ることは、貧血の状態をチェックする上でとても重要です。爪が全体的に白っぽい、割れやい、スプーンのようにそりかえっている。などの状態があったら鉄欠乏性貧血の可能性が高いです。
下まぶたの色をチェック、白っぽい場合は要注意
まぶたの色をチェックすることで貧血かどうかを見分けることもできます。鏡の前で下まぶたをめくって、色を確認してみてください。下まぶたには毛細血管がたくさんあります。健康な場合は赤からピンク色をしていますが、貧血の場合は白っぽくなっています。
最近疲れやすいな。と感じる時には爪やまぶたの裏側もチェックするようにしてください。意外と本人は気がつかないことが多いので、ご家族やコーチなどが定期的にチェックすることをおすすめします。疲れやすさやパフォーマンス低下の原因は鉄欠乏性貧血かもしれません。
鉄を多く含む食品と吸収を良くする栄養素
鉄は日本人の食事で不足しやすい栄養素の一つです。それに加えて、鉄の吸収率は摂取量の10%程度ととても低いのが特徴です。なるべく効率よく鉄を吸収するためには、鉄の種類を意識することと、鉄の吸収を助ける栄養素を一緒に摂取することが大切です。
鉄には動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄の方が非ヘム鉄に比べて吸収力が高いと言われています。調理の際に鉄鍋を使用することも、鉄の摂取量を増加させるのに効果的です。鉄はビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収率が高くなると言われていますので食べ合わせも意識してみると良いでしょう。ビタミンCやたんぱく質が鉄の吸収を助けるのに対して、コーヒーや紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害する可能性があるので、一緒に摂取するのは避けるようにしましょう。
まとめ
慢性的な疲労を感じたら、その原因は鉄欠乏性貧血かもしれません。成長期で鉄の必要量が増加するジュニアアスリートは特に鉄欠乏性貧血に注意が必要です。鉄を多く含む食品を意識して摂取することも大切ですが、どうしても不足してしまう場合は、サプリメントや栄養強化された食品を使っても問題ありません。鉄やビタミンCが添加された牛乳やヨーグルトなどの乳製品はジュニアアスリートにおすすめの食品です。
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管理栄養士/フードアドバイザー 高安 ちえ https://ncsracine.com/